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なぜ今ギャルトレンド再来と言われているのか?

  • 笹森 愛

    プランナー

  • 持田 小百合

    リサーチャー/プランナー​

令和の時代に再燃する「ギャルトレンド」
平成の歴史を語る上でその一躍を担った存在として語られる「コギャル・ギャルブーム」。
コギャル登場から25年以上たった令和の時代に、「当時のコギャルブームの片鱗を感じる!
ギャルトレンド再来か?」とにわかに話題になっています。

2021年の冬には1990年代に大流行をした「ルーズソックス」や「厚底ロングブーツ」、
2000年前後に流行をした「ちびTなどの肌みせファッション」(Y2Kファッションと呼ばれています)が話題になるなど、平成リバイバルブームが続いています。
電通若者研究部で毎月定点的に観測をしている最新のトレンド調査でも、今身の回りで流行っていることとして、「ギャルピース」が回答として挙がってくるなど、「ギャル」という言葉は確実に今の令和の若者たちにも意識をされているキーワードとなっています。

では、なぜ令和の時代に「ギャルトレンド」が再来しているのでしょうか?

バブル崩壊後の閉塞する日本で誕生した平成ギャル
1990年代~2000年代にコギャル、アムラー、ヤマンバギャル、アゲ嬢など形を変えて「ギャル」が
大流行をしました。一見華やかに見えますが、時代背景は厳しく、バブル崩壊後の「失われた10年(この時はまだ10年でした・・)」と呼ばれる時期と合致しています。

バブルが崩壊し、震災やテロなど社会不安が高まり、世の中全体に閉塞感が立ち込める時代背景を
バネに、「だったら自分たちで変えてやる!」と行動を起こしていったのが当時の女子高生たちを
はじめとするコギャルたちでした。そのパワーは暗い影を落とす日本の中でも際立って見える存在となっていきました。

コロナ禍で閉塞する日本で再燃するギャルブーム
では、ギャルブームが再燃しているといわれている2021年・2022年はどんな年でしょうか。
言わずもがなではありますが、新型コロナウイルスの世界的流行と共に、物理的にも精神的にも人の交流が遮断され、「新たなロスト・ジェネレーション」とも呼ばれる時代です。
本来であれば青春のど真ん中を思う存分、謳歌するはずだった時期にコロナが直撃した今の若者たちは、ある意味大人よりも逃げ場がない形で、どうにかコロナ禍に順応してきました。

平成の時代よりも進化している点として、令和の若者たちはデジタルツールを駆使し、
日本だけの情報に留まらず、海外の情報にもアクセスできる情報リテラシーを兼ね備えています。
長引くコロナ禍に順応をしつつ、一方で世界的な動向も冷静に見極め、「ただ留まっているだけではなく動き出していきたい!自分たちの未来は自分で創っていきたい!」という意識を持ち始めている様子も電通若者研究部が行っている意識調査でも確認がされています。

コロナ禍を過ごした令和の若者は、
平成ギャルのマインドに共鳴

閉塞した時代環境下で若者が自ら動き出そうとしている様子は、平成と令和の時代で非常に重なるところがあり、単なる繰り返すファッショントレンドという側面だけではなく、
「平成のギャルマインドに令和の若者が共鳴をし、平成ギャルトレンドのリバイバルが起きている」という見方もできるのではないかと思います。
もちろん、親世代が元ギャルだったから、という親子関係が起点となっているケースもありますが、それだけではなく、直接的な接点がない令和の若者たちの間で、平成のギャルマインドへの共鳴が起きるほど、実は社会背景がシンクロしているのです。

シンクロするZ世代とロスジェネ世代
ポケベルから、PHSや携帯電話まで、当時の大人たちが想像もしていなかった使い方(写メなど)で、どんどん自分たちの文化を生み出し、使いこなしていったコギャルたち。
くしくも、日々SNS(InstagramやTikTokなど)を使って、コミュニケーション方法が目覚ましく変化を遂げていく今の時代の若者たちと重なります。

また、コギャルたちは、バブル崩壊後から2000年前後の就職氷河期(超氷河期)と呼ばれた不況下に、社会へ出ていかざるを得なかった「ロスト・ジェネレーション」世代でもあります。
バブル崩壊後右肩下がりの企業経営を、当時は「新卒採用なし」(もしくは大幅採用人数の削減)で何とか維持しようとしました。社会から若者を切り捨てることで、当時の大人たちは自分たちの身を守ろうとしたのです。

くしくも、コロナ禍を契機に、Z世代とロスジェネ世代が共鳴しあう兆しも見えてきています。

「脱マスク」の動きなど、そろそろコロナ禍が明けようとしている現在、社会は同じ歴史を
繰り返さずに、「コロナが直撃した若者」を無視して置き去りにせず、共に未来を作っていく
努力が求められていくのではないでしょうか。